雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

日本でヘイトスピーチが規制される可能性

ブロッキングを目的としていないので深刻ではないが、青少年ネット規制法の民主党案横書きで、有害情報として「性又は暴力に関する情報であって人の尊厳を著しく害するもの、著しく差別感情を助長する情報その他人の尊厳を著しく害する情報」が例示され、与野党協議で落ちた経緯がある。

修正主義に近い立場の人物がつい去年まで総理大臣やってたこの国のこの状況で、二大政党の双方に修正主義にコミットする人が存在しているような政治状況で、場が奪われる現実的な懸念なんて最低でも向こう数年はなかろうし、場を奪えという動きすら聞いたことがない。

SFでもなんでもなく、端的な事実として、現代のヨーロッパでは、ヘイトスピーチへの法規制が進んでいる(ナチズムの記憶のあるドイツに限定された動きではない)。「公共空間の言論」から、特定の形の主張を「平等と反差別」のための「市民的合意」として、国家権力をもって排除するということである。

歴史修正主義が差別感情を助長する情報に当たるかは議論を要するが、欧州の例を盾に、日本でも誤った歴史認識の発信を制限すべきとの主張が出てくる懸念は小さくない。例えば歴史問題で紛争が想定される中韓いずれも、自国民に対し言論の自由を大幅に制限しており、書き込んだ内容如何で本人が特定され検挙されている。
仮に児童ポルノに対するブロッキングのインフラが整った後、東アジアの外交問題日中韓の世論が沸騰して各国政府が対応に苦慮した場合、中韓が自国内で対立を煽る言論を規制し、相互主義で日本も国民に対してネット上でのヘイトスピーチを規制すべきと主張したとき、どこまで押し返せるか。
あまり考えたくはないが、インターネット上の表現の自由を守るべきという論点では、日本が外交的に孤立する局面も想定される。制度的には米国も表現の自由憲法修正1条で手厚く保護しているとはいえ、仮にネット上のヘイトスピーチに対する規制の在り方を巡って日本が欧中韓と対立したとき、オバマ政権が日本の立場を擁護するだろうか。