雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

ぬか喜びかな mixiの出会い系コミュが概ね復旧している件

先週「出会い狩りの先にある世界」で取り上げたmixiの出会い系コミュニティ大量削除だが、改めて検索したところ概ね復旧しているように見える。0となっているサイトは数えるほどしか残っていない。ITMediaの記事にある画面キャプチャーでは「出会い」で検索すると919件引っかかり、現在は667件しか引っかからないことから、単に0と表示される削除済みのコミュニティが減っただけか。検索上位で現実に出会うことを目的としていると書かれたコミュニティを数多く発見できるが、スレッドへの書き込み日時をみると削除対象外のコミュニティのようだ。きちんと法律上の検討をした上で判断が変わったのであれば喜ばしいが、多くのコミュニティが復旧した理由やコミュニティの健全性を判断する基準について説明が見当たらない。
現行の改正出会い系サイト規制法の解釈基準に問題があるとすると、出会いを求めるコミュニティや掲示板を削除する法的根拠がないにも関わらず、知りながら放置していると出会い系サイトの届け出義務違反に該当してしまうことだ。「知りながら放置」をどう捉えるかが不明瞭で、運営者が「出会い」などをキーワードに巡回しなければならないのか、或いは通報を受けて放置した場合に問題となるのかはっきりしない。
そもそも出会いを求める書き込み自体は今のところ違法情報にも有害情報にも当たらないため、利用者から書き込みについてサイト運営者に通報されるケースは少ない。異性交際目的での利用を禁ずる規約に基づいて、規約違反の書き込みに対する通報を呼びかけるのだろうか。児童に対する性的搾取は異性間だけでなく同性間も考えられるので、異性交際目的で縛る理由も判然としない。出会い規制の対象をサイトとすることは、海外の事業者やサーバーが適用範囲外となるところも法執行の観点からも筋が悪い。
今回の警視庁からの要請で新しかったのは「ネット上に限った交際相手を募集していても『出会い系』とみなされてしまう」ところにある。SNSに限らずネットワークゲームでパーティーを組む場合や、セカンドライフ上でのバーチャル結婚、はてなブックマークIDコールまで『出会い系』とみなされてしまう可能性が考えられる。
成年に対してしかコミュニティ機能を提供していないmixiが警視庁からの要請に過剰反応してしまった背景を推察するに、出会い系サイトのように厳密な年齢確認を行っておらず実態として未成年がコミュニティ機能を利用していること、EMAの審査を受けて健全サイトとして携帯電話のフィルタリングから除外されていること等が考えられる。4月2日の読売新聞記事が「人気の「健全」携帯サイト、実際は「不健全」で大量削除」と触れていることから、今回の削除要請やマスコミへのリーク・記事化が、捜査現場や一部の記者のEMAに対する不満を反映しているとも考えられる。
4月1日の青少年インターネット利用環境整備法の施行後「健全サイト」で児童の犯罪被害が顕在化した段階で、民間が「健全サイト」を認定するという枠組みが破綻することは当初から危惧されていたところ、施行の翌日から事故も起きていないのに大袈裟に報道されるとは思った以上に早いペースで動いている。改正出会い系サイト規制法が施行されたのが昨年12月だから、今年ますます児童の被害が出会い系サイトからコミュニティ・サイトに移り、遠からず確率的に世間の耳目を引く事件は起こるだろう。そうなることを手ぐすね引いて待っている人々がいる以上、ネット規制の議論が再燃することが予想される。
これは覚悟せざるを得ない近未来ではあるが、いまの延長線上でサイト規制の強化を図れば新興事業者にとって参入障壁が著しく高い構造が固定化してしまう上、海外に法人やサーバーを置くなど容易な回避策も考えられる。児童の被害を実質的に減らしつつ、サイトの規模に応じて適切な対応を動機付ける柔軟な枠組みをつくれないものか。
その場合に青少年インターネット利用環境整備法の附則で触れられていた違法情報への対応が鍵となるのではないか。児童買春を誘発する書き込みは売春禁止法で規制されているが、適切に摘発・書き込み削除されているとは言い難い。警視庁による削除要請のように、原則として成人の利用するサイトで出会いを企図する書き込みを規制することは、憲法の保障する表現の自由、結社の自由、集会の自由などに抵触する虞があるものの、児童を現実に誘い出す書き込み等に絞り込めば対応には改善の余地がある。
出会い系サイト規制法を無理に拡大解釈する方向では、事業者にとって対応すべき範囲が不明瞭で運用に落とせず、萎縮効果ばかり高まって悪質な利用者が海外のサイトに流れ出すだけだ。ネット・コミュニティに対する規制強化を望む世論が沸騰する時期を見越し、事業者の負担や参入障壁を過度に高めず、適切な行政費用で充分な法執行を担保できる違法情報対策の枠組み構築が求められるのではないか。

ネット側からすれば、そういう規制をされて自由がなくなるのは喜ばしいことではないけど、未成年の買春被害者だかが500人も出てるんだったら看過できないのは当然だな。
いまこそSNSや出会い系が中心の話になってるが、そのうちブログやプロフも制限の対象になっていくだろうし、もっと統制は強まるだろ。これはもうしょうがないね。