雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

「金がないのに結婚はしない方がいい」よね確かに

麻生氏らしい露悪的な発言だし悪気はないのだろう。その辺のおっちゃんが居酒屋でクダ巻いてたら、そうだよなと思う。僕も酔っぱらって口が滑ったら同じようなことをいいかねない。とはいえ選挙期間中で少子化対策なり格差是正が論点になっている時期に不用意な発言ではある。「我が党はこうやって若者が安心して結婚できる社会をつくる」とか政権公約をアピールすべき場面だろ、と。短い記事なので政策アピールが記事にならなかっただけかも知れないが、それはそれで不本意に言葉尻を取られた点でPR戦略としては失敗だ。

麻生太郎首相は23日夜、都内で行われた学生主催のイベントで、若年層の結婚について「金がないのに結婚はしない方がいい。稼ぎが全然なくて(結婚相手として)尊敬の対象になるかというと、なかなか難しい感じがする」と述べた。

山田昌弘の著書「若者の将来設計における子育てリスク意識の研究」によれば、結婚したい多くの女は男に年収600万円以上をもとめ、その競争率は3.5人の男を38.6人の女で奪いあう、11倍の倍率。

10年間で手取り100万円も増えれば多少は結婚する若者やら合計特殊出産率は増えるのか?日本が長期的に持続していく上で経済成長と人口構成が重要となることはいうまでもなく、人口が増えないようであれば日本経団連が主張するように移民を受け入れるか、人口減=経済の縮小を前提として国家像のグランドデザインを描き直す必要がある。
女性の社会進出による労働力率の向上を地道に進めつつ、保育所の待機児童を解消すべくインフラを整え、中等・高等教育の学費負担を減らし、子育ての不安を解消する必要があるのだろう。移民の議論はいずれ避け難いとしても、まずは既に受け入れている外国人に適切な医療や教育を提供し、地域社会や就業先での差別を改善することが先決だ。また諸外国との比較でいうと、婚外子を育てやすい環境をつくれれば結婚する若者が増えなくとも出生率は上がる可能性はある。
結局のところ現政権は、先の選挙で公約した子育て環境の整備を実現できなかったにも関わらず、今回の選挙で似たような政策を臆面なく掲げ、今や平均的ではない旧来の家族像に拘り続けて母子加算などの福祉を切り捨てて、選択的男女別姓やらを握りつぶしてきた割に、時代の変化に対応したビジョンや政策を全く打ち出せていない。
そんな政権下で「金がないのに結婚はしない方がいい」のは確かだが、学生が聞きたかったのはそういう話だろうか。メディアで婚活を煽るとか安直なマーケティングに走る前に、安心して子育てできる環境をどうつくるか考えるべきではないか。この辺の国民生活に対する実感の乏しさは、国際的にみて異常に比率の高い世襲や、候補者の高齢化による弊害なのだろうか。