ラジカルな天皇機関説に触れて思うこと

シアトルから帰国するなり「制度の安定性を保つために，皇統の相続は男女問わず第1子」という報道を目にして，いや吉川さんはエンジニア出身だから非常に合理的なお考えをしたのだと思うけれども，これって人文的には非常にエポックメイキングというか，天皇制の根拠というか正統性さえ軽くスルーして制度運用の効率性に論点を絞る，極めてラジカルな天皇機関説だよなという印象を持った．
些細なことをいえば緊縮財政の折にネズミ算式に宮家が増えかねない制度改正も如何なものか．いや，男女平等とか平場じゃいろいろと議論があろうけど，その辺にジョーシキを当てはめるんだったら，そもそも天皇家の人権をどうにかしろよ，と．天皇家の問題で「男女平等って基本だよねー，やっぱり」というのは，僕からみると非常に捩れた議論なのだけど，日本ってそれくらい融通無碍な国で，天皇制に象徴される曖昧なガバナンスこそ，その構造を支えているのだから，伝統云々という話はさておき，これはこれで極めて日本的な展開なのかも知れない．