雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

天皇制の変遷について興味がある&読書メモ

ここ数ヶ月,明治維新から終戦工作にかけての本を立て続けに読んでいる.
ところで千年以上も続いてきた本来の天皇制というのは自生的秩序としての権力構造と伝統の正当性を支える祭儀にあって,いわゆる一神教のような厳密な教義を持った宗教とは在り方が違うのではないか.神道の宗教としての体系化は,明治期までしか遡れないのではないか.それは明治政府が天皇を神として法体系をつくったことに起因しており,神道の本義からは外れているのではないか.
明治政府が便宜的に天皇制を担ぎ,天皇機関説が暗黙の了解とされていた時代から,関東大震災以降に次第と社会が焦臭くなっていく過程で純化していく国体論への変遷過程がどのようなものであったのか,特に大正デモクラシーとの関連とか,生まれたときから大日本帝国憲法があった世代が力を持つようになったことの影響とか,なぜ密教としての天皇機関説が世代間で伝播しなかったのか,とか,とても興味がある.
いま『暗闘―スターリン、トルーマンと日本降伏』を読んでいるのだけれども,陸軍を中心とした徹底抗戦派と海軍や天皇側近を中心とした和平派の間でも国体の定義について食い違いがあるし,戦後の象徴天皇制そのものも,占領政策を巡る米ソ間の駆け引きの影響を受けているようだ.まだ読んでいる途中なので,そのうち考えを整理したい.
ところでこの本は和平派に感情移入して読むと,動かしようもない大局がみえていて,組織の中で自分の意見が通らないときに,どう雌伏の時を過ごして時期を待つかとか,そういう意味でも面白い読み物で,会社での立ち振る舞いをちょっと変えてみようかなという気にさせられた.