雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

ロボットへの欲情の行方

阪大の新しいロボットってば確かにカワイイ。しかしロボットに惚れるか?まぁ二次元に惚れる奴がいるんだから、似たような意味でロボットに惚れる奴がいても不思議じゃあない。どっちも本当の意味では双方向ではないし、ヒトではなく人工物に対するフェティシズムである訳だが。双方向じゃないって意味じゃアイドルとかに対する恋愛感情も似たようなものか。

自立歩行でき人工知能が積まれてセックスできるようになったら、子どもがほしくない男たちは、生身の女性は要らなくなるのではないか? 歳を取ることもないし、好きなようにカスタマイズできる。あるいは子育てが終わった男は離婚して、美人のロボットを伴侶とするようになるのではないか。

生身の人間と時間を紡ぐ偶有性と、アイドルや二次元やロボットに萌える一方的な感情とを一緒くたにするのはミスリードだし、子育てが終わった男が離婚して美人のロボットを伴侶にするという発想は恐らく未婚だから出てくるのであって、実際に結婚して子育てしてみると、結婚生活ってもっと腐れ縁のような何かである。
ロボットは機械的な意味で当面メンテナンスが面倒だろうし、結婚してくれとか要求してこないであろうことが都合いいのであって、当面は伴侶云々ではなくてラブドール風俗の延長線みたいなところが洗練されるとういう路線はありうるだろう。いまのところ商売として難しいようだが。
いずれ少子化で若い子は減るし、生身の人間では疫学的なリスクは避けられないし、一方でロボティクス技術について一緒に生活することは難しくても、アレで興奮を促すフィードバック制御とか発声技術は遠からず洗練されるだろうから。VHS vs βの昔から、そっち方面の市場って技術革新を牽引してきた訳だし。
メディアの発達がアイドルを生み、アニメ表現の発達が二次元を生んだ訳で、その延長線上で人工物への疑似恋愛感情が三次元化しても、それ自体は技術革新の方向として極めて自然だ。そういった創造の進化は、同時に人間への理解を深める契機にもなるだろう。
二足歩行ロボットを創ろうとして、いかに歩くということが高度な情報処理であるかを理解したように。この手の技術を洗練させる過程で、モテとか萌えとかエッチの時の一体感みたいなものに対する科学的理解も深まるのではないか。

男性が生身の女性を性的愛玩物にしようとする圧力は弱まり、若さ美しさを生身の女性に期待する視線も減っていき、女性にとっては生き易い社会が出現するかもしれない。かくして男と女は徐々に棲み分けをはじめていく・・・、と書くとみなさんきっと反発なさるでしょうが・・・。

ではロボットが本質的に異性の代替物になるかというと難しい気がする。結局のところ異性への感情って性欲もあるけれども、その性欲でさえ本質的には承認欲求やコミュニケーション欲求に根ざしているのではないか。やはり思い通りにいかない生身の異性との関わりこそが恋愛の醍醐味なのであって、最初から他人を受け入れるように設計された人工物との関わりは、エロゲやアダルトビデオ同様、疑似体験だとか代償行為でしかない。
裏を返せばエロゲとかアダルトビデオとか風俗が成り立つのと同様に、性的対象としてのロボットが産業として成立する素地は充分にある。そして性におおらかでロボット制御は素材産業が発達している日本は、この分野でリードできる可能性を秘めている。一方でエロゲや風俗が恋愛や結婚の代替とはならなかった程度に、性的対象としてのロボットが社会的な男女関係に大きな影響を与える可能性は低いのではないか。