雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

士のコモディティ化

結局のところ団塊ジュニア世代の卒業・少子化を受けた大学経営の破綻を先送りするために大学院重点化とか法科大学院といった施策を打ったが、マトモな出口戦略を持っていなかったという点に尽きるのではないか。
戦前から1980年ごろまでのパイプラインシステムは、それなりに入口と出口のバランスを取っていた訳だが、これは経済成長=雇用拡大局面だったからバランスできたのであって、市場の縮小局面で教員の既得権益を守るために文部行政は高等教育への上方シフトによる問題先送りを図ったが、日本企業の新卒一括採用という奇妙な風習にメスを入れられなかったせいで先行投資に見合う行き先のない博士*1を膨大に産み出してしまった訳だ。責めても詮無いが、こういう目に遭わないようにするためには、責任ある立場にあるオトナが時に懐古趣味で無責任で楽天的なのだ、ということを肝に銘じて人生設計する必要があるのかもね。

現在の法曹養成制度にするにあたっては、反対派の心配をよそに、法科大学院で高度の教育を受けた人材はたとえ新司法試験に合格しなくとも引く手あまたであるとの需要予測を推進派は行っていたところ、実際には新司法試験に合格していても、産業界等からの需要は皆無に等しいのが実情ですから、大幅な需給ギャップが生じてしまうのは仕方がないことです。

*1:法科大学院の卒業生は法務博士という称号となる