雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

そろそろコグニティブ無線の議論が盛り上がりそうだけど

日本で導入しようとすると、混信を防ぐという法構成をとる米国と違って、役所が決まった周波数を免許するという構成の電波法が障壁となる。とはいえ結局は5GHz帯開放のときと同じで、米国で市場が立ち上がってWRCで決議か何か出れば日本でも認めざるを得ないのではないか。実際、総務省もコグニティブ無線の研究に予算をつけるという話も聞こえてくるし。

日本でもUHF帯のホワイトスペースは、実測では首都圏でさえ100MHz以上あいている。ここを広帯域無線に使えば、FTTHより高速・低コストの「最後の1マイル」による設備競争を実現することも可能だ。完璧だが高価なATM交換機が、いい加減だが安価なインターネットに負けたように、デジタル放送がIP無線に負けるのも、時間の問題だ。

という訳で未来に対して悲観はしていないのだが、産業界の動きが米韓に対して出遅れているっぽいのは残念だなぁ、と。今年のISSCCではサムソンが早速コグニティブ無線のチップを展示したというし。
日本はIEEE802.11aに対して当初は屋内100MHz幅しか認められていなかったところをWRC03合意に基づいて追加開放したのだが、規制緩和が欧米と比べて遅れたために発売時期によって無線LAN機器のサポートするチャンネルにばらつきが生じた上、OFDM技術を持つ日本メーカーが市場参入する時期を逸してしまった。
もともと802.11aで使っているOFDMってNTTがHiSWANaのためにつくった変調方式の物理層AT&Tと共同でIEEE 802.11委員会に提出したのだが、標準化して儲かったのはHiSWANaのチップをつくっていた松下やシャープではなく無線LANチップのベンチャーAtherosや、PC向けチップセットの守備範囲を拡張し続けているIntelだった。
本来メーカーが世界で何を売るかと国内で何を売るかは切り離して議論されるべきだし、総務省がコグニティブ無線を日本国内で認可しないからといって、日本メーカーが海外でチップを売ろうとしない理由にはならないのだけれども、往々にして日本メーカーの事業企画は国内市場ばかり気にしているから、やっぱり日本で早く規制緩和しないとメーカーの国際競争力に響くよなぁという気がする。規制緩和が先か、メーカーの経営マインド刷新が先かは微妙なところだが。