時間ができればやりたいこと
今日は日経デジタルコアのシンポジウムでネット規制について話した。EMAの岸原さんも、自民党案は高市案と変わらずフィルタリングに対する国家統制で問題が多いという認識だった。ぼこぼこ政府組織を増やして規制をつくる割に目的も成果もはっきりしない。
今日の衆議院青少年特別委員会でも萩生田先生の質問に対し、法律や政府機関が必要な理由として、国民啓発や縦割り行政の解消を挙げ、実効性の点では疑問は残ることを認めていた。高井美穂先生の質問でも、第三者機関の登録が本当に必要なのか等の質問に対し、有識者による答弁の歯切れは悪い。
フィルタリングのカスタマイズができない携帯はともかく、保護者による柔軟な設定が可能なPCフィルタリングで本当に第三者機関が必要かは疑問で、品質を担保することが目的であれば性能評価手法の確立と定期的なレポート公開といった、CRYPTOREC的なやり方もあるだろう。そもそもリストだけでなく単語や出現頻度でのフィルタリングもある訳で、品質を決める要素はレイティング基準やガバナンスだけではない。
そもそも現段階で問題となっているのは有害情報やネットいじめ、学校裏サイト等であって、フィルタリングの品質ではないのだから、大げさな組織をつくってフィルタリングやレイティングに対して厳しく規制し、電子メールによるネットいじめや、学校裏サイトに対して法的に何ら手当がないというのでは、何をどうしたいのかさっぱり分からない。
むしろネット犯罪統計の充実、事案データベースの構築、フィルタリングを含めた児童保護技術に対する評価指標の研究、本人確認・共通ID普及の推進、全国の学校に学校表サイトをつくって保護者や教師が中身に関与できるようにする、ネットいじめに保護者や教師が気付ける仕組みを事業者に用意させる、有害情報だけでなくネット上の紛争や犯罪被害の被害相談窓口機能も登録通報機関に持たせる、メッセージ監視の法的扱いを整理するため通信の秘密の解釈を詰めるとか、そういうところから始めるべきではないか。
今国会で法案が通る通らないに関わらず、そういった政策パッケージは必要となるだろうし、法案の扱いが落ち着いたら問題解決に当たって本当に意味のある施策を打ち出し、きっちり事後的に政策効果を測定できる外形指標を検討したい。