雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

家電のPC化はどこまで進むか

PCのコモディティ化が進んだのは1990年代前半、DOS/Vで漢字の壁が崩れてWindowsPC-98じゃなくても様々なソフトが動くようになってからのこと。ほんの数年でAcerはじめ台湾OEMの天下になった。10万円以下のデスクトップ投入でコンパックショックって言葉もあったっけ。そして日本メーカーの匠の技を生かせる最後の砦であったサブノート市場が今Netbookで食い荒らされているって状況か。

あと、家電製品ではなくPCにおいては徐々に「国内メーカー品じゃないと買わない」という文化が崩れ始めてきたため、Dell、HP、ASUSACERといった台湾系(米企業だけど中身は台湾)商品によって国内メーカーによる高スペック縛りが解け始めているのが現状である。

デジタル家電じゃPCと同じことを繰り返さないって決意で、2003年ごろ経済産業省とかが真面目に考えて出てきたのがアクトビラなんだって。実際に日本のテレビメーカーを救ったのはISDB対応SoCの入手性とかB-CASカード、そして消費者の嗜好だったけど。この金融危機でFPD関連の超強気な設備投資とかどうなったのか。
デジタル化の割には、デジカメにしたってビデオカメラにしたって日本は健闘している。BRICsが落ち込んで最近になって数字が落ち込んできたけれど。アクトビラはさておき日本の家電メーカーは、サービス連携とか別軸の付加価値をつけるという方向にはいかなかった。ネット連携機能が何故あまり流行らなかったのか、それとも販売後のコストを回収する絵を描けなかったのか、その辺の構造って興味深いところではある。
捨てたもんじゃないと思っているのは、同じ日本でもゲーム業界はゲームコンソールのネットワーク化で徐々に、同じハードウェアでファームウェア更新を通じて新たな価値を創造し続けられていることだ。彼らは元々ゲームタイトルが売れれば売った後でも収益が入ってくるとか、ポイントとかを通じて決済をやっていて、プラットフォーム提供者としてコンテンツ・パブリッシャーよりも強い立場にあるといった違いがあるのだろう。家電メーカーもゲーム会社も、それぞれ日本で合理的な経営をしているのであって、テレビというハードウェア・ビジネスにサービスを持ち込むよりは、ゲーム機が家電を飲み込む姿の方が現実的ではないか。
というか中国のコスト競争力を最大限に生かしつつ、日本で企画して世界に売る任天堂のモデルって、将来の日本の家電メーカーにとって理想像にみえるかも知れないが、真似できるかというと収益構造から何から違いすぎて非常に難しい気がする。というか久多良木さんの時代のSCEは、もっと面白いことをやろうとしていたのかも知れないけど。たぶん本気でやるなら発想とか商品企画ではなく、収益モデルから変えていく必要があるのではないか。それと何でも繋がるとどう操作するか分からないから、ホームネットワークの夢が実現しないのってコストとか無線伝送方式とかアドレスの数じゃなくて、ユーザーエクスペリエンスなんじゃないか、みたいな。