不況の足音と、何か面白いことが起こりそうな予感
宮崎で行われているInfinity Venture Summit 2008 Fallに来ている。空港から会場へ向かうバスでの世間話から、不況の影響について。最初のJason Calacanisによるセッションでは、これから津波が来るぞー、という話。けれどもそれは、チャンスでもあるらしい。失業している間は旅行したり、パーティしたり、そこからflickrとかmeet up!とかyoutubeが出てきたんだ、みたいな。不況になると暇!ってシリコンバレー的な感覚だよなー。貯蓄があるか問題とかある訳だけれど、日本じゃ失業するとのんびり楽しもうどころじゃなくて、条件が悪くても再就職して、給料は減るけど更に忙しく、的ループに入りそうだよね。
ベンチャーの社長さん達に「いま優秀なひとが採りやすくなっているから、業容拡大し時ですよねー」とか振ってみると、この2~3ヶ月で資金調達が非常に難しくなっているとか、財布の紐を締めている様子が伺える。Jasonの講演でもセコイアのチャートを例に、不況になったらバサッと出費を減らして、それからまた成長軌道に乗せるべきで、だらだら出費して手元キャッシュが底をつきかけてから手を打っても手遅れになると説明していたんで、それが経営の定石ではあるんだろう。今ある会社は大小問わず財布の紐を締めるから、不況期には誰か起業しなきゃ新しい雇用は生まれないわけだ。で、のんびりネタを暖める余裕って、どこにあるんだろうか。やっぱり日米でエンジニアの給与水準が違うって問題か。違うか。
東国原知事の講演、さすがタレントだけあって滑舌よく、マニフェストの達成度も非常にいい状況なんだけれど、企業誘致にいちばん苦戦しているらしい。最近も誘致の決まったコールセンターから延期の連絡があったとか。真面目なひとが多いが、なかなか県内で新たな雇用が生まれないと嘆いていらっしゃった。夏に九大の合宿で宮崎を訪れた折、拠点を宮崎に移した会社から話を聞いたことがあるんだが、マーケティングとかの経験を持った人材を地域で採用することは難しく、その辺の機能は東京圏に戻したといっていた。ポストと職能って鶏と卵なので、地方に仕事を持っていかないと人が育たない訳ですよ。ブートストラップ的には東京のスタッフを地方に配属する訳だけど独身じゃないと難しいし、地域採用を増やそうというときに、似たような仕事とか労働者の流動性がないと、採用に苦労する、と。だから地域ごとに特色を出して、その職能に関しては流動性がでるようにすればいいのかな。否、製造業では専門性が高くても地域拠点でうまく仕事が回っているんだから、もうちょっと方法はありそうだけれどね。閑話休題。
噂には聞いていた民放の話も出た。宮崎は民放局の数が少ないので公約で新局をつくるといったのだが、地上放送局は80億とかかかって難しい。マニフェストでは地上放送とは明記していないのでIPTVでやれたらどうか、という話。しかしIPTVって各戸に光ファイバーが来ていなければならない訳で、地上放送局以上にお金がかかるんですよね。そこでCATVの域外再送信とか、決め手は2009年からの衛星同時再送信ですよ。少なくとも県知事が英断すれば、系列局がなくてもその県ではロックを外すようにすればいい、とか思う訳です。或いは系列がクロスしている場合に両方のキー局について視聴を認めるようにすれば公約達成じゃないですか、ってメールを知事に出そうと思ったのですが、なんと名刺にメールアドレスがない。という訳で、忘れないうちにブログにて。
IVSに来るのは初めてだけれども、不況で大変だといいながらこれだけの人々が一堂に会するってすごいよねー。で、イノベーションって、これまでの延長線上でやっていけない状況で、暇といえば暇なうちに、どれだけ仕込めるかってことだよね。こういう時だからこそ締めるところは締めつつ、どう新しいことを仕込もうか、みたいなことを全力で遊ぶべきじゃん。限られた仕事にみんなで群がって買いたたかれてみんなが貧乏暇なしになるよりは、溜めとか仕込みに入れる企業とか個人が増えてくると、もうちょっと面白い時代が来るんじゃないかなー、なかなか難しいけれど。これだけ様々な競合企業が集まって、新ネタを披露し合う場が盛り上がる風通しの良さって、これまで同業種で過当競争をやっていた日本の産業構造からすると突飛な動きであるかも知れず、こういうところから日本を面白くできるといいねー。自分も論評ばっかキリキリやってないで、楽しみながら新しいことを始めなきゃ。そういや前の転機も、ネットバブルが弾けて暇になった頃だったなあ。