雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

「.日本」ccTLD導入は傍迷惑だが賛成

情報通信審議会 インターネット基盤委員会で「.日本」ccTLD導入について議論されている。個人的には「.日本」以前に国際ドメイン名が気に入らない。紛らわしい文字はフィッシング詐欺の温床だし、Punycodeとか意味不明だし、古いブラウザや電子メールで使えないし、SSL証明書のCommonNameどうするのかも分からないし。だいたい今時URLを手入力するなんてオタクだけで、みんな検索窓に行き先を入力するし、Google ChromeとかURL窓にURLを入れたって検索エンジンを叩くし。
検索エンジンの普及で入り口としてのURLが廃れつつある今日、IDNなんか真面目にやる価値があるか極めて疑わしい。事業者としては使わないTLDが増えたって商標保護のためにドメイン押さえる手間と費用が増えるだけで何のメリットもない。現在「総務省.jp」も「soumu.go.jp」にリダイレクトされるだけだし、「はてな.日本」とか超カッコ悪いし、キーストロークも多いし、だいいちURLにみえない。
新しめのWebブラウザでしか使えないIDNは世の中に混乱をもたらすだけで、これから電子メールのIDN対応についてIETFで標準化して、MUAやMTAをIDN対応へ向けて手を入れるとしても、全てが入れ替わるまで軽く10年は混乱するだろうし、そうこうしている間にドメイン名の重要性なんて今以上に小さくなっている公算が高い。
もとは中国やアラブ圏がドメイン名にASCIIコードのみ認めていることに対して不平等と反発しているらしいが、識字率が高く義務教育でローマ字を教えている日本で、日本語ドメインデジタルディバイド解消に役立つとは思えない。むしろメールで使えないドメインとか、却って混乱を招いてディジタルディバイドを助長する虞さえある。
敢えて使途を探すと、オリンピックを睨んで「がんばれ.日本」とか、選挙前だから「とてつもない.日本」とか「新党.日本」とか、キャンペーン用ドメインの登録が増えるのだろうか。まだgTLDで「.銀行」とか取って「新生.銀行」とか銀行に売り歩く方が現実的という気がするが、よほど高く売りつけない限りICANNに上納するお金とか元は取れそうもない。
個人的には「.日本」ccTLD導入は商標を予約すべきドメインが増えてドメイン屋さんが儲かるばかりで、サイト運営者やサーバー管理者にとっては頭痛の種でしかないのではないか、中国や韓国がやるからといって日本で追随する必要があるのか甚だ疑問を感じる。
とはいえドメイン屋さんやISPが「.日本」ドメインを売りたいといっているのに、国が事業者やサイト管理者の事情を勝手に忖度して「.日本」なるccTLDの利用を認めない、というのも余計なお世話ではある。
どうせ当面メールに使えない国際ドメイン名なんて、キャンペーンURL用と割り切って「.日本国」ではなく使い道のある「.日本」、「.jp」との関係は完全分離し、管理運営業務はできるだけレジストラの負担が小さく、ドメイン取得費用を低廉にできるスキームを検討すべきではないか。悪用しようにも面白そうな使途が見当たらないし、レジストラが倒れて突然「.日本」ドメインを使えなくなったところで、大きな社会的混乱は起きそうもない。