雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

MNOがMVNOとなることを積極的に認めるべき

MNOが他社網を借りた例としてはイーモバイルがドコモの音声網を借りた件が既にあり、いまさら問題にするのも如何なものか。MNOも他社網を借りられるようにすれば、2位以下のキャリアは自社網を充実させるか、MVNOとして他社から回線を借りるかのトレードオフを行うだろう。

通信事業者がMVNOとなることは、通信サービスの事業者を多様化し、競争を促進するというMVNOの趣旨に反するのか、それとも電波の有効利用という観点から認められるべきか、

後発事業者がネットワーク負荷に応じて投資を先送りできれば、設備投資の重複を避けられ、資本も電波も効率的に利用できる。経済危機で業界全体に対する与信が絞られる中、各社のサービス水準は底上げされ、エリアも広がる可能性を期待できるのではないか。
独立系MVNOにしてみれば、事業規模の大きなMNOがMVNO事業に参入することを脅威と感じるだろう。電波の割り当てを受けているMNOは、これまで有形無形のかたちで設備投資の責任を負ってきたようだ。他社網の活用は、設備投資義務の放棄という捉え方があることも理解はできる。
しかしHSPAやLTEなど技術進歩が急速に進む中、網を相互に乗り入れられないが故にMNO間での重複投資が生じることは、携帯の電波が届かない山間僻地の住民や、エリアカバレッジの広がらない下位キャリアの利用者など、大半の国民にとってのデメリットの方が大きいのではないか。
確かにMNOに割り当てられた無線周波数が大きな経済的価値を生んでいるにも関わらず、適切な対価が支払われていないのではないかという批判は根強い。他社網の活用で浮いた資金が、通信料の下落や不感地帯の解消、通信方式の高度化といったかたちで利用者に還元される保証はない。
しかし、これらの問題はMNOがMVNOとなることを禁じるといった勢力均衡策ではなく、電波利用料や相互接続料の算定基準、ユニバーサルサービス規制で対応すべきことだ。経済危機で経済全体の信用が収縮する中で、更なる通信インフラの高度化を図るべく、あらゆる通信事業者が無線も資本も効率的に利用できるようにすることこそ肝要ではないか。