雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

ライフログ減税で消費刺激と財政健全化への布石を

やっとこさ事業仕分けで1.7兆円を削った矢先に7.2兆円の補正予算とは。国債発行44兆円くらい市場が織り込んでいるとして、税収減で国債60兆円発行とかになっても長期金利は大丈夫か。金利が上がれば借金を抱えた企業は行き詰まり、住宅ローンを抱えた家計も直撃する。需給ギャップが30兆円あるというが、いずれ経済が回復してギャップが埋まるんだろうか。時代の変化で需給にミスマッチが生じているのだとすると、時代の針を札束で引っ叩いて遅らせているだけじゃないか。短期的には景気を刺激しつつ、長期的な財政への信頼を高めるためには、旧来型の公共投資ではなく、将来の課税ベース拡大・行政事務の合理化・確実かつ公正なセーフティーネットの構築に資するインフラ整備と政策減税こそ必要ではないか。
例えば子ども手当や年金の給付と徴税とを一元化し、銀行自動引き落としにして事務手続きの簡素化と確実な徴税を可能とする。領収書の電子化、口座を集約・申請して政府による入出金記録へのアクセスと自動引き落としを認めた場合に所得税・住民税を減税。電磁的記録の残る決済手段で買い物した場合に消費税を減税する。こうすれば少ない行政事務で抜け漏れのない徴税が可能になり課税ベースを拡大できる。
品目を限定したエコポイントよりも、電子決済の利用と政府によるログ活用を許諾することの対価として消費税を減税の方が公平だ。定率減税もいいが先に減税バジェットを決めて月毎に捕捉した消費額で割って還付すれば、個人消費の回復に応じて自動的に減税率も下がる運用が可能になる。ログ提供の見返りに生活保護や諸手当を増額することも考えられる。ライフログを基に生活実態を知って政策を打てれば、手当を出し続けるよりも抜本対策になるだろう。
購買履歴からリアルタイムで消費動向を捕捉できれば、これまでの家計調査よりもずっとリアルタイムで消費動向を捕捉でき、金融調節の参考にできる。ライフログを使ったリアルタイム景気捕捉・経済予測とか、霞が関クラウドの使途としても面白い。処理すべき膨大なデータが集まるところでしかクラウド技術は育たない。行政によるライフログを活用した景況分析はデータ量も相当だし面白いワークロードとなり得る。
プライバシーを国に売り渡すのかという指摘もあるだろうが、当面は従来のやり方も認めるのだから選択肢が増えるだけだし、現行法でも税務調査で銀行の取引履歴をみることができる。事務経費の削減分が減税として還付され、税額を自動的に弾き出し確定申告などの手間も軽減されるのであれば、少なくとも自分はトレードオフを受け入れて銀行取引や電子決済購買履歴を国なりに預けてもいい。景況判断の参考にされるならなおさらだ。
短期的には所得減税・消費減税だが、長期的には行政コスト削減と課税ベース拡大や消費税増税の礎となる仕掛けだから、国の徴税能力を高めることを通じて国債の信用は高まり、長期金利上昇を抑制する効果も期待できるのではないか。と、今日のtweetを整理しておく。


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http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20090130/1233339379