雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

日本国内でのLINE利用を韓国当局が傍受することは困難

月刊FACTA7月号で、LINEが韓国の国家情報院に通信傍受されているとする記事が掲載された。これに対してLINEの森川亮社長が「国際基準を満たした最高レベルの暗号技術を使って通信されていますので、記事に書かれている傍受は実行上不可能です」と反論、さらにFACTAの阿部編集長が「それが破られているというのが本誌の認識」と再反論している。その後LINEはITMediaの取材に対し「暗号化後データは独自形式、解読は不可能」と回答した。
LINEの開発者向けブログによるとLINEはサーバーとの通信に通常TLS/SPDYを使っているが、3G通信などで遅延が大きい場合には利用者の操作性を優先して暗号化せずに通信を行う場合があると書かれている。データセンターは日本にあるとのことなので、FACTAの記事にある韓国政府のサイバーセキュリティ関係者の発言が仮に事実であったとして、少なくとも韓国国内での遅延の大きな3G回線等を経由したLINEの平文通信は適法かつ容易に傍受できたと考えられる。

We allow for non-encrypted connections. SPDY is usually used with TLS, but this slows down connection times and transfers-especially over mobile connections. Thus we decided to allow for non-encrypted connections over a mobile network.

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RSAとNSAとの秘密契約疑惑で揺らぐ暗号システム評価

RSAといえば代表的な公開鍵暗号アルゴリズムで、作者が暗号を商用化するために設立した会社の社名でもある。その老舗がNSAから1000万ドルを受け取って、同社の暗号ツールキットBSafeで、NSAが開発したバックドアを含む擬似乱数生成器Dual Elliptic Curveを標準設定にしたとロイターが報じた。事実であればRSAやBSafeのブランドだけでなく、Dual_EC_DRBGをSP 800-90Aとして標準化したNISTへの信頼も揺らぐ。

あるNSAメモは、大胆にもその進捗状況についてこう書いている。「暗号解読機能がオンラインで使えるようになった。これでこれまで捨てられていた大量の暗号化インターネットデータを活用できる」 (略) ReuterがNSARSAに1000万ドル払って欠陥アルゴリズムを使わせたと暴露したことによって話は変わってきた。NSAがある種の邪悪な黒幕で、人気のセキュリティー標準を陳腐化しようと必死になっている、と思われていたものが、実は金を使って企業に侵入していたのだから。

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Bitcoin考: 貨幣的な、あまりに貨幣的な

久々にBitcoinに興味をもったのはWebSig1日学校2013の基調講演を引き受けた際に紹介しようと思ったのが契機だった。講演の数日前に会社へいく道すがらBBC World NewsのPodcastを聞いていたらFBIによる闇オークションSilk Road摘発の報道で、日本人の中本哲史が開発した電子貨幣として紹介されていた。調べ直して流通量が10億ドルを超えていることや、この数ヶ月の乱高下を知って驚いた。

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mp3がアングラだった時代

Winampが公開された1997年ぼくは秋葉原の雑居ビルにある謎のDOS/Vショップで店番してた。欧州のFTPサイトで落としたMODをBGMで流してたその店で、mp3はWareZな連中がCD-Rに焼いて交換するもので、持ち運びながら聞く手段さえなかった。mp3をつくるにはリッピングと圧縮に別々の不親切なソフトが必要で、Winampで音楽を聴くのはちょっとしたステータスだった。韓国の会社がMPMANを発表するのは翌98年2月、ガジェットとしては興味深かったけれどもMDプレーヤーと較べて高いし粗削りでメリットは感じなかった。

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玉音放送から68年目の暑い夏に寄せて

8月15日ゆるゆると六本木通りを歩いていたら溜池交差点で街宣車の縦列をみかけ、そうか今日は玉音放送の日かと往時に想いを馳せた。日本ではこの日を終戦記念日というが、国際的には東京湾に停泊した戦艦ミズーリ号の甲板で降伏文書を調印した9月2日こそ正式な終戦とする主張もある。では日本国民にとって8月15日にどういう意味があったかと考え直すと、正午の玉音放送天皇陛下のご聖断が国民に知れ渡り、本土決戦を主張する陸軍の野望が最終的に潰えて、国民がやっと総動員体制から解放された、いわば戦後の始まった記念日だろうか。

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スマート家電の落とし穴

うちに帰ったらリビングが静かだった。テレビをミュートしてるのかと思いきや、テレビが壊れて音が鳴らなくなったんだという。電源を入れ直しても治らないんで、試しにコンセントを抜き差ししたら再び音が鳴るようになった。55インチのテレビを修理に出すとなるとコトなので直って良かったんだけど、随分と不安定で昔のパソコンみたいだと呆れた。

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現実を直視して実効性ある少子化対策を

内閣府少子化危機突破タスクフォースが「女性手帳」の発行を検討しているという。確かに出生率は将来の潜在成長率や年金・健康保険・財政の持続性にとって重要な因子だが、戦時中の「產めよ殖やせよ國のため」(1939年9月30日 厚生省「結婚十訓」)の反省も踏まえて慎重に進める必要がある。委員提出資料を拝読すると有識者からは様々な地に足の着いた提言があったようだが、十分に拾い上げられていないとすれば残念だ。今後の予定をみると今月中下旬にはとりまとめるようなので残された時間は少ない。

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