雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

自分で考える習慣は何処からって

やっぱ周囲に対する幻滅から入るんじゃないかな、親であろうが他人を信用できないっていう。すげー下らないが僕が中学受験した時、親から「いい学校に入ったら虐められなくなるよ」っていわれた。いい中学には入れたが、やっぱり虐められた。後から振り返るに程度問題であって、公立に入ったらもっと大変な目に遭ったんだろうが、当時はなんかこう裏切られた感とかあった訳だ。

どうしたら、自分で考える習慣が身につくだろうか。…はい、ここがチャンス。まず最初に、「どうしたら自分で考える習慣がつくだろうか」の答えを自分で考えるところからはじめればよいのではないだろうか。

その時は被害者意識ばっかの中二病みたいな感じが、自分なりに突き抜けた気がするのは中3で2つ年上の女性と知り合ってからだ。彼女はものすごく本をよく読んでいて真面目だったんだけど、高2の途中で受験勉強に集中する周囲に疑問を感じて学校を辞めるといった。僕は彼女にレールに乗っかったままでいて欲しかったので「あなたがそんなに高邁な思想を持って学校を辞めるんだったら、(制服の学校に)私服で行って、自分の考えをクラスみんなに話してから辞めればいい」といった。彼女は本当にクラスで大演説を打ってから学校を辞めて独り暮らしを始めた。その話を彼女の同級生から聞いて、ああ自分の世界って何て狭いんだろう、どうせ彼女はそんなことできないだろうし、何とか学校に残って欲しいとか思った僕の浅はかさ、偽善、そして行動力のなさを悔いた。すごく自分が出遅れていて行動力に乏しい気がした。これからは迂遠に他人を試すのではなく、もっと素直に想いをぶつけ、或いは自分で考えるだけでなく、主張している通りに生きなきゃ嘘だと思った。
それから数ヶ月後、僕は留年が決まった。出席日数が足りているのに成績だけが理由で中学で留年というのは、僕の学校では初めてのことだった。前例では他校に転出してでも高校生になるのだが、当時の神奈川方式*1では行き先がなかったんだ。何度か担任とか学年主任と面談するんだが「ルールですから、仕方ないですよね」という僕に対し「君のように、留年しても動じない奴は初めてみた」と驚かれた。彼女に電話で伝えたら「私のせい?」って聞かれたけど「そうじゃない、僕が自分で選んだ結果だよ。何も後悔してないどころか、僕は勉強よりずっと大事なことを学んだんだ」といった。
周りがみんな年下で僕より勉強が出来るというのは、なかなか居心地が悪いものではある。すぐ慣れたし、後から考えると同級生が増えるっていいことだけどね。レールに乗っている間は、そこから外れるのがすごく怖いんだけど、いちど外れてみると、意外とどうにだって生きていける気がしてくる。けっきょく高1でも留年が決まって、僕は2つ遅れでも今の学校にいたいと思っていたんだが、親がもう学費を払いたくないといって高校を辞めた。僕より成績の悪い奴が進級しているのは後から知った。新聞部の活動とかで、だいぶ煙たがられていたのだ。アンフェアだといってくれる後輩もいたが、敵をつくったら足下を掬われるようなことをやっちゃいけないんだと納得した。自分の納得できる記事を出すために山ほど先生方と喧嘩したけれども、大人の喧嘩を覚えるって意味で、勉強よりずっと重要な諸々を、新聞部での活動から学んだ。
実際に高校を辞めてみると、ストレスがなくなって、入った予備校ではすぐに彼女*2もできて、話を聞いてくれる骨のある大人がいて、とても楽しかった。いったい僕は何に拘って踏みとどまろうとしていたのか分からなくなった。僕は大学に入ってすぐ仕事も始めたので、予備校時代の2年間が人生では一番のモラトリアムだったんだ。人生万事塞翁が馬ってのを地で実感した。
なんか取り留めもなくなってしまったが、結局のところ自分の頭で考えるためには、その方がレールに乗って流されているよりも人生に納得でき、充実するんだってことを実感するのが一番なんじゃないかな。敷かれたレールでシャカリキになったほど報われた奴は、ずっとそうやって生きるんだ。人間18歳や20歳になって大人になる訳じゃない。定年過ぎたって子供は子供だし、中学生だって自分で人生を選ぶこともある、そういうものだ。自分の頭で考えるにせよ、自分からリスクを取るにせよ、小さくていいけれど機会と成功体験が必要なんだ。それは偶有的な何かだし、僕がいまこうして自分なりに考えているのも、別に考えていない奴より賢いからじゃなくて、自分で考えているひとや、自分から考えさせられる状況と偶々遭遇したからであって、自分にできることは「考えろ」ってプレッシャーを与えることではなく、自分なりに誰かを触発したり、そういう出会いをコーディネートできるかだろう。

*1:内申5割、ア・テスト2割、入試3割なので、入試で100点満点を取ったところで30点にしかならない

*2:ヤンデレで大変だったが、それはそれで今となっては想い出