不作為犯に対する法的義務の形式的根拠
青少年ネット規制法で青少年閲覧防止措置が努力義務になったことについて、奥村先生が法技術的には意味があると言及されている。私のような法律の門外漢は字面通りにしか理解できないので、この辺の指摘はとても勉強になった。
「サーバ管理者による青少年閲覧防止措置は努力義務に」って言っても、わいせつ図画・児童ポルノ等の「違法情報」については、名宛人によっては管理者の処罰根拠になります。条文なくても刑法総論で不作為犯として正犯・共同正犯・幇助で有罪になっているわけですから、今回の法律で法的義務の形式的根拠を得たことになる。これまでは条理しかないと言われてきたのにこれからは、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律○条の閲覧防止措置義務違反」と言える。
違法行為に関連した情報については、削除もさることながら背後にある違法行為の取り締まりを強化することが本筋で、発信者情報開示に係る司法手続きの簡素化など、司法権を侵さないかたちで状況を改善する方法は考えられる。
下手にサーバー管理者等に情報削除を依頼すると、犯罪者に証拠隠滅の期間を与えてしまうことも考えられる。シレッとフィルタリングで青少年から情報を隔離しても構わないが、情報の削除よりは迅速に犯人を捕まえることの方が重要ではないか。