通放融合と不条理なコンピュータの類似性
やっぱり何でこんなことやるんだっけとか、論点が空回りしている背景が分からないんで、改めて竹中懇から中間論点整理までの議事録を読み通して感じたこと。うーん、なんか組織の抱える問題って普遍的というか、まるで「不条理なコンピュータ」で読んだようなシナリオ。

- 作者: 不条理なコンピュータ研究会,日経コンピュータ
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2006/02/18
- メディア: 単行本
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- 竹中大臣がNTT, NHK, 放送に手を突っ込むため2011年に通放融合なる展望を掲げた
- 答申は出たものの与党合意で2010年まではNTT, NHKに手を付けることは封じられた
- 当初期待していた地上放送番組のIP配信は実は著作権法とか権利者間の取引関係が課題
- けれども2011年から逆線表を引いた2010年通常国会提出という予定は残った
- 2010年までに政治的に可能なこととして縦割りから横割りへの法制刷新が残った
- 研究会中間報告の前くらいに、9本の法律を1本の法律に纏めることになった
- 何十年も触っていない法律もあるし関連政令・告示・通達を整理するの大変
- 何百条もある法律を月1回の研究会で整理できるはずもなく散漫な議論が続く ←いまここ
やっぱ絵に描いたような「不条理なコンピュータ」だよなぁ。
- 2年前にワンマン社長が招いた鳴り物入りのCIOが高邁なる理念を掲げて2011年レガシー移行・システム統合なる展望を掲げた
- CIOの雇ったコンサルからSCM/ERP全面導入でベストプラクティス適用というレポートが出たものの、役員会で各工場の経営自主性には2010年まで手を付けないことに
- 当初期待していた部品調達の効率化は、実は政府規制とか関係会社との力関係が課題
- けれども2011年から逆線表を引いた2010年までに詳細設計を固めることは決まった
- 2010年までに政治的に可能なこととしてレガシーシステムを捨ててERPを導入することは決まった
- 検討会議で汎用機で動く9つの異なるレガシーシステムをオープン系で1つのERPに集約することに
- 何十年も触っていないCOBOLコードとかIMS上のレガシーデータとか実態を把握するのも大変
- 何百本もあるビジネスロジックを月1回の会議で整理できるはずもなく散漫な会議が続く
- そういえば気付いたら名物社長は隠居して、社長もCIOも2度ほど変わっているよね ←いまここ
比喩で書くと、本当にレガシーコードをすぐ捨てる必要があるか考えてみようぜ。今のシステムでできない喫緊の経営課題って何だっけ。そこのボトルネックだけ先に手を付けられないのかな。全面的なシステム刷新は、経営改革を待つべきなんじゃないか。
本格的にビジネスロジックに手を付けるのは、新しいビジネスプロセスが決まってからでも遅くないし、っつーかそうしないと明らかに二度手間だし、テスティングの時間とか十分に取れないだろ。その際も全てのシステムをいきなり移行なんて無謀だから、やることの決まっているところから段階的にいこうね、と。
ボタンの掛け違いは当事者間の利害関係の問題を制度的課題と勘違いしたところで、地道に根回しして既成事実をつくればいいところ、やること先に決めちゃったもんだから後に引けなくなっている。そうこうしているうちに、船頭はとっくに別のところにいってしまってて「あれ、誰のために何やってるんだっけ」とか振り返る間もなく、そろそろ工数が膨大な詳細設計のところまで来ているんだけど、進めて大丈夫でしょうか、つーか誰も怖くてブレーキ踏めないよ、みたいな感じになっている気がする。