雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

三度目の正直となるか,情報通信省に望むこと

無駄なタライ回しや縄張争い,似たような研究会の乱立が減るだろうから,ICT政策の担当部局を一元化することには大賛成なのだが,コンテンツ産業や日本製携帯電話機の国際競争力強化に繋がるかというと,注視する必要がある.
例えば携帯電話機メーカーの悲劇は,キャリアに依存しっ放しで国際的な流れに目を向けることが難しく,多くのメーカーが自前の技術戦略もマーケティング戦略も持ち合わせていなかったことだ.キャリアどころか役所まで船頭となって,彼らの国際競争力が好転する可能性はあるのだろうか.そもそも携帯電話機メーカーが国際競争力を持つべきと誰が決めたのか.
とってつけたような産業政策が失敗する原因のひとつは,施策の責任がはっきりしないことだ.携帯電話機の失敗から学ぶことがあるとすれば,国策・国益の名のもとにメンツを重んじる政府や,国内競争に明け暮れるキャリアに振り回されるのではなく,実際にリスクを取るメーカー自身が真剣に事業戦略を考えるべきだったということだ.現場を知らず支配するための補助金は業界構造を歪んだかたちで固定し,いちばん情報を持っている当事者の判断にバイアスをかけてしまう.
国際競争力を高めるべく,組織構造も含めて情報通信政策を仕切りなおすのであれば,ここは是非とも看板の掛け替えに留まらず,リスクを取る主体が自前で戦略を考え,そういった知恵の必要なところに優秀な人材が集まるよう,産業構造の転換を実現できる骨太な枠組みを構想していただきたい.

インド訪問中の菅義偉総務相は13日夜、滞在先のチェンナイで同行記者団に対し、総務省経済産業省文部科学省内閣府の情報通信担当部局を統合した「情報通信省」(仮称)を創設する構想を明らかにした。政府の経済財政諮問会議で提唱、6月に取りまとめる「骨太の方針」で打ち出したい考え。統合の時期については、与党を含めて議論する意向を示した。
放送・通信の融合の時代を迎え、コンテンツ(情報の内容)産業の育成や日本製携帯電話機などの国際競争力強化が狙い。