雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

元なんちゃってITコンサルが考える経営コンサルの秘密主義

なんちゃってITコンサルしかやったことないんで経営コンサルのことはよく分からない.たまーに彼らのインタビューを受けたり,彼らが書いてると思しき提案書を眺めたり,そういった世界の用語で会話する人々の輪の中に入ることがない訳ではないが,あれってMBAとかと一緒で流行りのパターンに目の前にあるものを当てはめるとか,秘伝のツールに当てはめて一丁上がり,というパターンが多いようだ.で,そんなコモディティ化し得る大した知恵も必要と思われないものに,何故あんなイイ値段がつくのかっつーことは考えてみる価値がある.
ぼくがなんちゃってITコンサルだった頃のことを考えると,結局のところコンサルの仕事って「阿吽の呼吸で発注者の意向を把握し,権威ある理屈に基づいて肉付けし,小綺麗な資料に落としてモットモらしくみせる」ことに尽きる.結論は発注者の意向であって正しい意志決定と限らない,誤った意志決定や歪んだ思惑のために頼まれた仕事ではロクな結論しか出てこないし,よしんば正しい意志決定であったとしても失敗のリスクを回避できない.
しかし「モットモらしくみせる」ことが重要である以上,ブランド価値こそがコアコンピタンスであり,毀損のリスクは最小化しなければならない.だから,結果が出る前のコンサル案件について情報開示するなんて言語道断だし,後からたまたま結果的に成功した案件について「あれは実は私どもが入れ知恵しましてね」と,中身に踏み込まずに曖昧な評判を流すしかないのである.
実のところコンサルの結果として酷い失敗も山ほどあるし,そういったものの子細を検討すると彼らが発注者の思惑ばかり気にする二枚舌であること,意志決定ではなく衒学的な言説で発注者の意向をオブラートにくるむことのプロであること,場合によっては失敗を予期できる意志決定でさえ美辞麗句で箔付けし「我々の提案は正しかったが,実行に問題があった」という逃げ道を用意しておく手口とかがバレてしまうから.
大学時代なんちゃってITコンサルだった僕はもう少しナイーヴで,空気を読み損ねて仕事を取り損ねたり,大真面目に増減資を提案して発注してくれた経営者が飛ばされてしまったり,適当に逃げを打てばいいところで提案だけでなく実行までコミットしてデスマーチに放り込まれたり,全くもって不器用であった.
だからコンサルとしての僕は駆け出しの学生で二流だけれども,結果的に自分の頭で考えて実行まで引き受け,成功したり失敗したりすることが,何より身のある頭の体操というか,経験に繋がった気がする.
これは僕が文無し学生だったからできた賭けであって,儲かっててそれなりに自己資本に厚みのある戦略コンサルだと,訴訟リスクや風評リスクが大きいから,逃げ道を用意して秘密主義のもとに経営者の自慰行為を権威付けしてあげるとか,ツールに当てはめる単純作業だけ引き受けて,失敗してもツールのせいにして新しい別のツールを売り込むのが,最も合理的な行動様式なんじゃないかな.
とゆー訳で「君の指摘するようなことがないとはいえないかも知れないけど,もっとちゃんと中身ある仕事だってしてるんだぜ」という経営コンサルからの反論を求む.

マッキンゼーなどの経営コンサルタント会社は、情報をオープンにして評価を上げるという手法を試してみようと思わないのだろうか?もちろん現在のところ、クライアントとの契約で伏せているということなのだろう。しかしすべての事例が隠す必要のあるものなのかよくわからない。オクノ総研で書いていたように「実はバカであることを隠すことが守秘義務」だからなのかどうか知らないけど、クローズドにすることで「なんかよくわからんけど凄そう」に見せる戦略をこれからも続けるのだろうか。