雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

要はガクモンな仕事って少ないんだよ,きっと

僕は就職活動なるものをやったことがないんだが,同じゼミの学生たちが就職活動しているのをみて不思議な印象を持った.金融論のゼミだったから銀行/証券志望が多い.不良債権問題が云々とか,金融ビッグバンが云々といった時代.調べたり議論していると銀行のビジネスモデルが揺らいでいるとか,不良債権が大変だとか,新興市場が出来て間接金融から直接金融への移行が加速とかそういう話をするんだけど,就職活動に入った瞬間,みんなそういう銀行を受けるんだよな,これが.金融論を学んで金融界に行くのはまぁ素直なのかも知れないけど,お前らゼミで議論してたことは何だったんだ?とか突っ込みたくなった.けれどもこれは学生のせいだけというよりも,会社が就職活動をそういうものにしている,というのもあるんだろうな.
ところで雇用の流動性について,企業はだいぶ覚悟しているんじゃないかな.実際,引き抜かれちゃってる訳で.問題は覚悟すると企業行動がどう変わるかということで,昔はデキる奴には海外留学させたり手塩にかけて投資した訳だけど,今どき下手に外の世界をみせて学位のような武器を渡してしまうと逃げられちゃうから,虎の子の優秀な社員を箱入り娘っぽく腐らせちゃうようになった気がする.だから,お互いに流動性を前提として行動するのが会社や従業員,広く社会にとって有益かというと,多くの経済学者はそう妄想しているけれども,教育投資とか様々な面で合成の誤謬がある気がする.3年半で居心地のいい会社に「飽きた!」とかいって三行半つきつける奴がこんな心配するのは筋違いだが...
けれどもまぁ,経済が成熟すると,組織内部で「仕事で報いる」ことは難しくなるから,それなりに上昇志向のある奴はjob hopせざるを得なくなるんだろう.流動性を前提に,ちゃんと中長期的な視野を持って企業経営/人材開発ともにうまく回るための共同幻想のようなものが必要になりそうな気がする.

そういう勉強が大学の学問といかにかけ離れているかっていうのは大学一年生の前期でわかりそうなものだけど、それをわからず、同じノリで就職活動してしまってる。おまえら四年で何を勉強した?

「まっさら」の新卒(今時まっさらの新卒なんて、地方の高卒にしかいないと思うけど)を正社員で採用したいと言う時、将来的にさせたい業務はルーチン業務じゃないやん。もしルーチンやったら、それをしてくれる労働者の終身雇用をまもらなあかんと思うけど。幹部候補に将来なってもらいたい学生なら、会社に一度や二度首切られても、外部求人市場の価値の落ちない人間になってもらいたいやろから、雇用の流動性ぐらい学生の側もそれ以上に企業の側も覚悟しろよ。