雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

最低ログ保存期間を決めて被害届を窓口機関が受理できるようにしては

そう、そうなんですよ。現行プロ責法の開示請求フローには問題が結構あって、この辺の実効性をもっと高めていくための検討は重要。ログ保存期間もそうなんだけど、自殺のような緊急避難を除いて令状ベースで開示請求かける訳だけど、令状を取るには被害届を出す必要があって、けれども被害届を警察が受理してくれないケースが少なからずあるみたい。

発信者情報の保存義務と保存期間を法定してくれないと、開示請求する前に、消されちゃうので、責任追及できなんですけど。
やってみればわかりますが、プロバイダ責任制限法は何かと救済手続のハードルも高くなっているという感想です。それじゃ、二次的に管理者に責任追及という発想になる。

随分とひどい話だが、県警にしてみれば犯人が県内にいる可能性の低い、国内にいるかさえ疑わしいネット事案で被害届を受け取ってしまうと検挙率が下がるので、現場としてはなるだけ受け取りたくないらしい。そもそも犯行現場となったサーバーと、犯人と被害者が同じ県内である可能性が低いネット事案で被害届の提出先が県警というのもおかしな話で、本来は日本版FBIみたいな組織をつくるべきなのだろうし、それが駄目ならいっそネット日本語圏を丸ごと実績ある京都府警の管轄にしてしまうのはどうかとか考えるんだけど、ともかく現時点では被害届は県警に出すことになっていて、県警がこれを受理したがらないケースが結構あるらしい。確かにDDoS攻撃とかボットが云々とかSQLインジェクションとかいわれたって、普通の警官には分からないよね。
そうやって被害届を受け取る、受け取らないとか押し問答しているうちに発信者情報のログが消えちゃう、なんてことがあっては困る。だから奥村先生のいうようにプロ責法については適切な最低保存期間を定める改正が必要となるだろう。そしてこの最低保存期間としては、開示請求のフローが確実に実行できる期間を設定すべきだ。で、フローを確実に実行できる時間を考えた場合に、被害届の確実な受理と一定時間内での手続きを担保する方法を考える必要がある。どうせ今度の法律で窓口機関強化をやるのであれば、窓口機関は違法・有害情報の通報だけでなく、被害届を受け取って適切な警察組織等にディスパッチする機能も担えないのだろうか。
そうすれば受理する者は県警の窓口と比べればネットの専門知識を持った者にできるし、今だって違法情報の通報は窓口機関から各県警が行っているのだから、業務の一環としてうまく位置づけられるのではないか。そして窓口機関が被害届を確実に受理するところまで担保すれば、開示請求に繋げる業務フローを組み立てられそうな気がするし、県警の動きが悪くても、実態を適切に可視化できるようになる。という訳で、違法情報対策の強化が自民党総務部会案の肝だけど、実は違法情報だけでなくネット上の脅迫とか違法行為に対しても日本の警察が適切な対応をできていないことが実情で、今度の法案でまとめて解決できるといいな、と。
あと数年後に法律を見直す時に、認知件数・検挙件数・体感治安とか、お手盛り指数で感情的な議論が惹起されても困るので、折角この法律をつくるタイミングで、ネット上の犯罪実態について統計の充実も同時に図る必要があるだろう。通報件数とか、処理件数とか、窓口機関に集まる情報もうまく議論に活かせるようにすることが肝要だ。