雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

「有害」概念の定義にCRYPTOREC方式を

トラバを読んでいると有害サイトを削除する必要はないが、親が適切に保護し、子どもの発育段階に応じてフィルタリングを緩和できるようにすべきという点では概ねコンセンサスを取れそうだ。だとすると民主党高井私案でも提案されたセルフラベル方式が妥当となるが、次の問題はセルフラベルを義務づける対象となる有害概念を誰がどう決めるかだ。

「有害」の定義は難しい。そこで、私案では対象を児童と区切り「著しく」という言葉を入れることにした。「意見を聞いて5対5に分かれるところはフィルタリングをかけるべきではないと思う」

政府機関をつくっても業務量が膨大となるだろうし、価値観の多様性に追いつかない懸念や、憲法違反の疑義がある。この辺は高井私案でも曖昧で、法案にどう盛り込むかと、実際どう運用するかの両方を考える必要がある。
わたしはリベラリズムの立場から、マイノリティを含めた法の下の平等を考えた場合に、こういったセンシティブなことを多数決で決めることには疑問を感じる。またセルフラベルの場合は、国内で基準を決めるだけでなく海外サイトでどう運用してもらうかまで考える必要がある。
役所の肥大化を防ぎ、海外サイトのセルフラベルとも親和性が高く、多様性を受け止められて、技術革新に柔軟に対応できる仕組みを考えたのだが、これって意外と暗号の話と似ているんじゃないかという気がしてきた。だとすると、政府が委員会で推奨暗号を決めるCRYPTOREC方式と同じ方法が使えるんじゃないかな。
CRYPTORECが暗号の安全性について基準を定めてAESとかCamelliaを推奨しているように、ゾーニングの要件を定め、セルフラベルであれば政府推奨ボキャブラリとして例えばFOSI ICRAやSafety Onlineを推奨し、何を使うかは事業者に委ねるのである。こうすれば政府が決めるべきはボキャブラリの満たすべき要件の定義に留まり、細かい基準は民間に委ねることが出来るし、国際協調も容易で、宗教や価値観に応じた多様なボキャブラリに適応できる。
法案には有害サイトの定義について細かく記述せず、保護者に代わって児童を適切に保護できる技術の満たすべき要件を、政府が定めるとだけ書けばいい。こうすればゾーニング手法をフィルタリングに限定せず、事業者の管理すべき範囲を明確にできる。憲法違反の疑義や、青少年保護のためにつくった政府機関が肥大化して言論統制を担おうとする懸念を払拭でき、透明性の高いかたちで適切なガバナンスを働かせることができるのではないか。